金星に生命体が存在する可能性!?大気中から生物の痕跡が発見される

  金星の地表から約60キロメートル上空の大気から、生命体が存在する可能性をしめすガス、ホスフィンを感知したとする研究論文がイギリスの科学雑誌「Nature Astronomy」に掲載された。

 論文を発表したのは、イギリス・カーディフ大学のジェーン・グリーブス教授を中心とした、イギリス・アメリカ・日本の科学者たちによって編成された国際的研究チームだ。

 この研究チームは、ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡(ハワイ島マウナケア山頂天文台群にある電波望遠鏡)とアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(チリ・アタカマ砂漠に建設された大型電波干渉計)を使って、生命体の存在をしめすのに有意な濃度のホスフィンを金星の大気の中から検出したと発表した。

発見された「ホスフィン」とは一体?

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 研究チームによって金星の大気から検出されたホスフィンは、リン化水素という地球ではごくまれにみられる物質で、嫌気性生物(酸素を必要としない種類のバクテリアや微生物)などによって放出されることで知られている。

 嫌気生物以外に有意な量のホスフィンを生成するプロセスは他には知られていないため、マサチューセッツ工科大学の研究者たちが「ホスフィンは地球外生命体の存在をしめすバロメーターとなる可能性がある」と示唆、世界中の研究者たちの間で注目を集めていた。

 その後、研究者たちによる惑星へのホスフィン探索が行われてきたわけだが、今回グリーブス教授らによって金星の大気中から有意な濃度のホスフィンが検出されたことで、このホスフィン探索が実を結んだ結果となったのだ。

偶然では起こりえない高濃度のホスフィン

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 研究者たちは、太陽光、雷、火山活動、鉱物の蒸発など、ホスフィンを生成する可能性のある金星の自然現象を調査してきた。 しかし、これらの自然現象では金星の大気から検出されたのと同じ量のホスフィンを生成することは不可能だと結論づけた。

 今回金星で感知されたのは、これらの自然現象によって生成されるより1万倍も多い、濃度約20ppb(大気分子10億個に対し、20個のホスフィン分子)のホスフィンである。ただし生命体がいれば、濃度20ppbのホスフィンはたやすく生産できるものと推測されている。

 さらに興味深いポイントは、金星の大気に含まれる硫酸によってホスフィンは分解されてしまうはずなのにも関わらず、これだけの量のホスフィンが大気中に常に存在しているということである。

 つまり、常に「何者か」が金星の大気中でホスフィンを生成し続けているということである。もしかしたら、それが地球外生命体かもしれないというのだ!

そもそも金星に生命体が存在することは可能なのか?

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 金星は地球から1番近い惑星で、サイズや質量なども地球と似ていることから、地球の「ふたご惑星」と呼ばれている。

 しかし地球の「ふたご惑星」にもかかわらず、その環境は「奇跡の星」地球とはまったく正反対と言ってもいいほど過酷なものだ。

 気温は摂氏470度、気圧は地球の90倍(地球においては900メートルの深海で感じるのと同じ圧力)。大気のおよそ96%は二酸化炭素で、上空は金属をも溶かす濃硫酸の雲に覆われており、太陽の光が地表に届くことはない。

 また「スーパーローテーション」と呼ばれる秒速100メートルもの暴風が吹き荒れており、まさに「死の星」といっても過言ではないほどの過酷さなのだ。

 そんな金星も、30億年ほど前までは程よい大気や海が存在する、現在の地球とよく似た環境だったと言われている。しかし太陽に近すぎる公転軌道が運命の分かれ道となってしまった。

 地球の2倍にも近い太陽放射にさらされているために海水はすべて蒸発した。そして海水中に含まれていた大量の二酸化炭素が大気中に放出され、その温室効果で気温が劇的に上昇してしまったのだ。

 また自転速度が地球にくらべるととても遅く、一周するのに243日もかかる。この遅すぎる自転速度のために熱や空気が地表にとどまりやすく、超高温・超高気圧という環境を作る大きな理由となっている。

 このような過酷な環境に生命体が生存することは不可能であると考える研究者が多く、地球外生命体探索の舞台といえば、もっぱら火星であった。

「金星に生命は存在する!」 可能性を探求し続けた研究者たち

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 しかし一部の研究者たちは金星に生命体が存在する可能性を提唱してきた。

 彼らは、金星の地表付近はかなり過酷な環境であるが、大気の上層部(地表から約60km)には二酸化硫黄の雲があり、この層では気温も気圧も落ち着いていて(摂氏0から60度、0.4から2気圧)、生命体が生存しうる環境だという見方を示唆してきた。

 2018年には、NASAの研究員でアメリカ・ウィスコンシン大学の惑星科学者サンジェイ・リマイェ博士らが、JAXAが打ち上げた金星探査機「あかつき」が撮影した金星の紫外線画像に写っていた謎の黒いスポットが、「二酸化炭素を栄養源としている微生物の集まりである可能性がある」とする研究者発表を「Astbiology Magazine」というアメリカの学術誌に発表している。

 かつての温暖で適度な厚さの大気や海などをたたえていた頃の金星に、生命誕生に必要な条件が備わっていて、その時代に誕生した微生物などの生命体が、その後の過酷な環境の変化を乗り切るために、大気上層部に避難したのではないかという推測も立てられた。

 今回のグリーブス教授らによるホスフィンの検出は、金星の大気中に微生物が生存しているのではないかという仮説に、追い風を送る形となった。

歴史的な大発見に今後への期待が膨らむ

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 研究チームの一員であるクララ・S・シルバ氏は「調査結果を見てあ然としました。まさか金星の大気からホスフィンが検出されるなんて思ってもみませんでした」と、自分たちの調査結果に驚きを隠せない。

 「この発見のおかげで、生命体がどのように生き残ることができるかなど、さらなる疑問や研究課題が見えてきました。 地球上では、ある種の微生物は濃度約5%の酸の中でも生存できることされていますが、金星の雲はほとんどが酸からできているんです」と語っている。

 ブレークスルー・リッスン(地球外の人工的な電波および光信号を探索するためのプロジェクト)の研究者であるダニー・プライス氏は「すごいことです!人類史上初めて地球外生命体が発見されたかもしれません。金星の高酸性雲で生命が誕生したり、生存できたりする可能性があるとしたら、生命体が銀河全体に広がっている可能性があります」と期待に胸を躍らせた。

 しかし「 微生物以外にも、金星の大気にホスフィンを放出するプロセスが存在するという可能性もあります。 今回感知されたホスフィンが微生物から放出されるものだと決定づけるためには、さらに徹底的なフォローアップ観察をしていく必要があります」と慎重な見解も述べている。

 今回の発見が、人類の地球外生命体探索の歴史とって大きなものだったことは間違いなさそうであるが、「金星に生命体が存在する」と決断づけるには、さらなる調査が必要となるようだ。

引用元:
NewAtlas

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