立ち上がる動物レスキュー隊、紛争に巻き込まれた動物たちを救え(パレスチナ)

 パレスチナの飛び地で地中海に面したガザ地区は、1948年イスラエル建国から長く続く冷戦の後、1993年のオスロ合意によりパレスチナの暫定自治区となった。

 2004年にはイスラエルの軍隊と入植者は撤退はしたものの、ガザ地区を取り囲む国境は軍事封鎖され、人や物資の流通が難しくなった。

Gaza_Map
Image credit: Wikipedia, modified

 種子島ほどの面積に人口約190万人も住むガザ地区は、約8割が難民である。現在にいたるまで人々は食糧や医療品の慢性的不足に苦しんでいる。

 2006年ハマスがガザ地区の政権を握ったことで軍事的緊張がますます高まった。その後イスラエル軍からの激しい攻撃により、ガザ地区は大規模に破壊されている。

âKâUò¦æê
photo credit: Bing

 ガザ地区にはハン・ユニス、ビサン、ラファの3つの動物園があった。紛争により人間のみならず動物たちまでも被害を被った。

 2014年ガザ地区が大規模な爆撃を受けたのを機に、国際動物愛護団体フォー・ポーズ(Four Paws)は動物たちを助けるために立ち上がった。

 食料も水もなく瀕死状態の動物たちを救った動物レスキュー隊の努力と活躍のストーリーがここにある。

ビザン動物園、飢えと病気に苦しむ動物たち

 2014年、ビサン動物園では80頭以上の動物や鳥たちが紛争により命を落とした。

 生き残った20頭の動物たちは10日以上餌を与えられておらず、病気になっているものもいた。手術が必要なほど、傷を負っていた動物もいた。

 「紛争の中、園に近づくことさえ出来なかった。水を運んでやるだけで精一杯だった」と動物園のスタッフは語った。

ârâTâôô«ò¿ëÇ
photo credit: Independent.co.uk

 フォー・ポーズはすぐさま治療薬と餌を手配した。十分な施設もない動物園では、手術も屋外でやるしかなかった。

 移送に耐えられるだけの体力がない動物たちのため、壊れた囲いを直し掃除をして動物園内で世話をすることになった。

 動物たちの体力の回復を待って、イスラエルの国境を抜けヨルダンの動物保護区へと移送された。

ハン・ユニス動物園、13頭の動物とガザ地区最後のトラ

 次にフォー・ポーズが訪れたハン・ユニス動物園は、爆撃によってほぼ壊滅状態だった。

 ピーク時には220頭いた動物も生き延びていたのはたった15頭のみだった。猿・ダチョウ・シカたちと共にガザ地区でたった1頭となってしまったベンガルトラのラジスがいた。

ânâôüEâåâjâXô«ò¿ëÇ
photo credit: Bing

 2015年動物たちのレスキューが始まった。しかしレスキューの24時間前、残念ながら傷を負っていた小鹿が亡くなってしまった。残った14頭のうち13頭の動物たちはヨルダンとイスラエルの動物保護区が受け入れてくれた。

 産まれた時から動物園にいる8歳のトラ・ラジスは人生の半分を檻の中で過ごしてきた。残りの人生を仲間と一緒に広い場所で過ごさせたいと考えたフォー・ポーズは、ガザ地区から数千キロ離れた南アフリカのビッグキャット保護区を訪れた。

 ラジスはビッグキャット保護区で快く受け入れてくれることになったものの、空港も鉄道も破壊されたパレスチナでは移送が困難をきわめた。

 エジプトとの国境は封鎖されているため、ラジスはイスラエルのベングリオン空港より移送されることとなった。

 2016年、ラジスは最後の健康チェックを受けてから、ビッグキャット保護区へ無事移送された。

再開したラファ動物園、生き残った47頭の動物たち

 ラファ動物園は2008年の紛争被害で閉鎖を余儀なくされた。残された動物たちのため、オーナーは出来るだけの世話をしてきたが限界が近づいていた。

 餌代を調達するために2頭の赤ちゃんライオンを裕福層にペットとして売り、他のライオンも大きくなって餌代が経営を圧迫するようになった。

 資金繰りにつまったオーナーはフォー・ポーズに助けを求め、動物たちを国外に移送することにした。

 しかしエスカレートする紛争の中、イスラエルとの国境も一時閉鎖になり、移送を延期しなければならなかった。

 オーナーは2018年にフォー・ポーズから動物園存続のため資金援助を受けたものの、すぐに底をついてしまった。足りない資金を稼ぐため、レスキュー開始を待たず2019年に園を再開した。

 数か月後に動物園を再び訪れたフォー・ポーズが目にしたものはひどい光景だった。動物たちは狭い檻にまとめて入れられ、お金を払えば赤ちゃんライオンにムチを打って遊ぶことができるサービスを行っていた。

âëâtâ@ô«ò¿ëÇ
photo credit: Bing

 フォー・ポーズはオーナーにすぐに動物園を閉鎖させた。

 2019年4月、やっと動物たちの救助を始めることになった。ラファ動物園には47頭の動物が残っている。これだけの数の動物を移送させるのは初めての試みだった。

 健康チェックをして動物たちを次々と移送用に箱にのせていく。動物たちを乗せた大型トレーラーは、再開したイスラエルとの国境を経由し、丸一日かけてヨルダンへと渡った。

âêâïâ_âôé+
photo credit: Bing

 動物たちはそれぞれヨルダン動物保護区やアマンのシェルターに移された5頭のライオンのうち2頭は南アフリカのビッグキャット保護区へと移送された。

フォー・ポーズの努力と願い

 2014年から始まったガザ地区の動物園のレスキューは、紛争の中約6年間かけて行われ、生き延びた動物たちを無事に安全な場所へと送ることができた。

 オーストリアを本拠地とした国際動物愛護団体フォー・ポーズは、動物を危機から救うだけでなく、そのために資金調達・署名活動・保護区の確保など影の努力が必要とされる。

そして動物たちを救うため、多くの人の理解と協力を募っている。これ以上、動物たちが人間の犠牲にならないように願い活動を続ける。

引用元:
Nationalgeographic.com
Independent.co.uk

動物に関連する記事はこちら

応援よろしくお願いします!にほんブログ村 ニュースブログ 海外ニュースへ

Twitterで更新をチェック